営業をデザインする

日本人の半分は三大都市圏に住んでいる!

都心は人口が多い。超過密です。人だらけです。たった三つの都市エリアに日
本人の半分が住んでいます。

都心は企業も集中しています。三大都市圏は企業だらけです。かなりアバウト
ですが企業の「本社」所在地は、東京圏、名古屋圏、大阪圏で約4割弱を占め
ています。上場企業の約8割が三大都市圏に集中しています。全国に点在して
いるのは、残りの2割だけです。

中小企業の分布までは調べていませんが、おそらく似たような傾向が見られる
ものと推測しています。


 ▼ 人口の集中
───────────────────────────────────
三大都市圏(東京、名古屋、大阪の各都心から50キロメートルの範囲)に人口
の 50.01%が集中しています。
──────────────────── フリー百科事典 Wikipedia ──


 ▼ 企業の「本社」所在地
───────────────────────────────────
東京都 25万2千企業(企業全体の16.5%)
大阪府 11万2千企業(同7.3%)
愛知県  9万1千企業(同6.0%)
神奈川県 8万9千企業(同5.9%)
────────────────────────── 総務省統計局 ──


 ▼ 上場企業(約3,900社)の「上場企業の都道府県分布」
───────────────────────────────────
1.東京都 1,950社
2.大阪府  484社
3.愛知県  232社
4.神奈川県 202社
5.兵庫県  118社
──────────────────── 2006年10月04日 日経夕刊 ──


 ▼ 中小企業数(会社数+個人事業者数)
───────────────────────────────────
約432.6万社(全企業数に占める割合は99.7%)
中小企業白書 2008年版
─────────────────── 中小企業庁事業環境部調査室 ──


三大都市圏は営業マンの天国なのか?

2008.08.08%81QSeminar51.JPG

都心は人口が多い。ということは、新規市場を開拓したい企業から見ると三大
都市エリアはどのように見えるでしょうか?

ターゲットとなるお客様がウヨウヨしています。それだけ売れる可能性が何倍
も高くなります。いくらでも好きなだけ売れる! 都心に入れば新規開拓やり
放題! まるでお得なバイキング料理のようなものです。圧倒的に訪問件数が
多い都市エリアこそ理想的な営業天国!

それこそどこを見ても買ってくれそうな見込み客ばかり。同じ営業するなら都
心の方が有利に決まってる。営業マンにとって夢のような世界です。それが都
心の魅力です。そう思いませんか?

でも変ですねぇ? なぜ、都心で苦戦している営業マンが多いのでしょうか?
もっとバンバン売れてもいいはずなのに……。なぜ、売れないのでしょうか?


顧客の数が多ければ売れる! は本当か?

右肩上がりに伸び続けていた高度経済成長時代。生産力を増大するために全て
の企業が競い合うように設備投資をしていた時代です。今から35〜50年ほ
ど前。1955年から1973年までの18年間は営業マンにとって、どんな
時代だったのでしょうか?

大きな流れとしては、企業が投資する。生産性が上がる。雇用が増える。と同
時にいくら生産しても商品が足りない。それくらい誰もが一斉に新製品を欲し
がっていた時代です。

電話が鳴るたびに注文が入る。座っていれば注文が飛び込んでくる。経営者に
とって夢のような時代ですね。そして営業も面白いように稼げた時代です。

いつでもどこでも飛び込めば飛び込んだ数に比例して成績はグングン伸びる。
その当時の営業方針はイケイケドンドン。営業マンの合言葉はひとつ。「他社
よりも先に行け!」それだけで売れる。訪問すれば売れる。訪問件数を増やせ
ば増やすほど売れる。売れる。売れる。行けば売れる。営業が楽しくて仕方が
ない。そんな時代です。

その後も、1973年からバブル崩壊の1991年まで安定成長期へと移行し
て右肩上がりの時代はしばらく続きます。


営業とはこういうものだ! という亡霊

2008.08.08%81QSeminar52.JPG

右肩上がりの時代に営業を体験している人は、当時の印象が強烈に焼きついて
います。そういう私も同類です。長い間、私の頭の中は当時の感覚が支配して
いました。あの頃に覚えた営業方法は正しい。そうい信じて疑わなかったので
す。営業ノウハウの正しさは結果が証明しています。振り返れば輝かしい実績
があります。それだけに「営業とはこういうものだ!」と思い込んでしまった
のです。

やがて時代が変わり、以前のように売れなくなると、あの手この手を駆使して
みます。それでも売れないと「まだまだ修行が足りないな」と感じていたので
す。営業マンとしてのレベルに問題を感じても、営業方法そのものに問題があ
るとは考えてもいなかった。

この方法で売りまくってきたんだ! これこそ最強の営業ノウハウだ! この
ノウハウに問題があるはずがない。平成不況という時代に問題があるんだ! 
この方法で誰もがガンガン売っていたんだ。間違いない。そう思っていたので
す。バカみたいでしょ?


考え方を変える必要性に気が付いているのか?

今は売れない時代だから売れない。不況だから売れない。景気が回復して当時
のようなモノが売れる時代になれば、またあの営業ノウハウで、また売れるよ
うになる。きっとそうなるに違いない。いつまでも雨の日ばかりは続かない。
なんてネ。希望を失わないように自分自身に言い聞かせていました。それに人
は何でも自分に都合のいいように解釈したがるものです。

いずれ景気は回復するに違いない。景気がよくなったら、またあの頃のように
営業すればいい。そうすれば一気に挽回できるはずだ。なぜそう思いこんでい
たのかといえば「稼ぎまくった経験」です。当時の成功体験が変化することを
拒否していたのです。

不況の時は他社もみんな苦しんでいる。苦しいのなウチだけじゃない。とりあ
えず今は、この苦しい時期をどう乗り越えるかだ。ここで頑張ればまたチャン
スがやってくるさ。

実績があるから自信がある。自信があるから多少のことではゆらぎません。意
外に思うかもしれませんが、右肩上がりの「あの時代」を体験している人たち
は、今でも「あの営業方法が一番正しい」と思っているフシがあります。少な
くとも私は、つい最近までそうでした。

自分の勘違いに気が付くまで、悲しくなるくらい全然売れない長くて暗いトン
ネルを延々とくぐり続けなければなりませんでした。方法論が間違っているの
でホントに苦労しています。もっと早く気がつけよ! って思うんですけどね。

一度しみ付いた「営業とはこういうものだ!」という考え方は簡単には変えら
れないようです。時代が変わっているのに自分の考え方は変えられない。とこ
ろで、あなたの会社の若い頃に優秀な営業マンだった営業マネージャーや経営
者は大丈夫でしょうか?

現役を離れてしまった今となっては営業に対する考え方を「変える必要がある」
とさえ思っていないのかもしれません。まわりを見ると、どうもそんな気がし
てなりません。


大活躍した営業マンは心の奥で何を思っているのか?

2008.08.08%81QSeminar53.JPG

どこの企業でも「右肩上がりの時代」に大活躍した営業マンたちが何人もいる
だろうと思っています。彼らは売り物となる商品さえ持っていけばバンバン売
れていた時代の営業を体験しています。ひょっとしたらいくつもの伝説が残っ
ているかもしれません。

彼らは、その当時のやり方を詳しく知っています。なんたって体験しているか
らムチャクチャ詳しい! どうすればもっと売れるのか、よく知っています。

営業の基本行動として「効率よく訪問すればもっと売れる」とうことも実体験
として理解しています。当然ですが「訪問件数を増すことの大切さ」もよくわ
かっています。また、当社の製品はこんなにいい商品だから「よさが伝われば
売れる」と思っています。

売れないのは訪問件数が少ないか営業のセンスがないからに違いない。いくら
不景気だといっても、日本からお客様がすっかり消えちまったわけじゃない。
ちゃんと営業すりゃあ、売れるだろう。オレならもっとガンガン飛び込んでみ
せる。もっと熱心に売り込んでみせる。ったく。今時の若いモンは文句ばっか
り並べやがって。なぜやらねぇんだ。

心のどこかでそう思っている営業経験者が多いのです。「右肩上がりの時代」
に大活躍した営業経験者に共通しているのは、現行の営業方法を疑っていない
ことです。


実績のある上司に多い「指示の傾向」とは?

数社の大手企業で、私がこの目で見てきた限りですが……。過去に実績のある
上司ほど部下を問い詰める傾向が強いようです。そして、なぜかやたらと現場
に行かせたがります。

訪問先はいくらでもあるだろう! もっと効率よく廻れ! ドンドン廻れ!
廻れ! 廻れ! つべこべ言わずに廻って来い! なんだ、この訪問件数は?
遊んでいるのか? 増やせ! もっと増やせ!

訪問件数が増えれば見込み客が増える。見込み客が増えればもっと売れる!
簡単だろ! 分母を増やさなければ結果が出るはずがない。分母だ。分母!
分母を増やせ! 訪問件数が少なすぎる。だから売れないんだよ!


入社したばかりの若手営業マンたちは、実績を出してきた先輩たちのやり方以
外に、もっと売れる方法を知りません。訪問件数を増やせば売れる。上司から
そう言われれば「営業とはそういうものだ」と信じるしかありません。

どうすれば訪問件数を増やせるのか? 一生懸命考えます。そして出てくる答
えがこれ。都心を狙うことです。効率よく廻るにはターゲットが密集している
エリアを狙う。つまり都心が最適です。

ターゲットが一社か二社しかない過疎地を廻るよりも、何倍も密集している都
心を狙った方がいい。見込み客と出会える可能性だって何倍も高いはずです。
一日に廻れる訪問件数を都心で増やそう! お客様に会わなければ売れないの
ですから。そして都心へGO!


都心で勝つためのシンプルな法則とは何か?

2008.08.08%81QSeminar54.JPG

都心はターゲットが密集しています。移動時間が短縮できます。その分、面談
時間が確保できるようになります。それに断わられたとしても都心ならすぐ近
くに開拓先がいくらでもあります。

確かにその通りです。都心なら訪問先はいくらでもあります。ところが売れな
い! 何件訪問してもクロージングまでいかない。商品説明で止まってしまう。

「パンフレットを置いていってくれ」「ご提案を検討させていただきます」と
あっさり断わられてしまう。そうしたケースがとても多いのです。どうすれば
いいのでしょうか?

私はいくつかの業界で横浜と東京を中心に営業しています。どちらも超過密地
帯です。その経験から得た法則があります。それはとてもシンプルな法則です。
その法則とは?

「強いモノが勝つ!」

たったこれだけ。はっきり言って「営業力」を武器にして、都心で生き残ろう
と思ったら、ライバル企業を蹴散らすだけの圧倒的な競争力がなければ勝ち目
はありません。

たった三つの都市エリアに日本人の半分が住んでいます。上場企業の約8割が
三大都市圏に集中しています。日本中の営業マンが都心に集結している。しか
も、休むことなくお客様を一斉に攻撃しています。感覚的には「営業マン、全
員集合!」状態です。そう思っても、それほど大きな間違いではありません。

都心は営業の激戦地です。ライバル社と比較して、自社製品が圧倒的に優れて
いることは勿論、営業マン個人の交渉力、提案力が優れていること。さらに商
品力、訴求力、価格競争力、営業戦術、等々が他社よりも優れていること。

それらをトータルで考える「営業力」が、他社よりも圧倒的に優れていなけれ
ば生き残れません。それが都心を開拓する営業マンが生き残るための法則です。

「強いモノが勝つ!」

どう考えても営業マン個人の能力に頼る営業には限界があります。


営業するべき相手ですか?

では「営業力」が互角なら勝負になるのでしょうか?

なりません。都心ではあらゆる企業の営業マンが殺到しています。中途半端な
営業力では簡単に蹴散らされます。必死になってしがみついたとしても、せい
ぜい価格競争に巻き込まれるだけです。

── もっと安くなりませんかねぇ?

そうやって値引きだけで取引先を選別しようとするお客様しか相手にしてくれ
ません。こちらから「売り込みに行く」と、こうなってしまいます。

「売り込みに行く」とは、こちらから押しかけていって商談のステージに相手
を引きずりこもうとする営業方法のことです。テレアポ、または飛び込みで相
手企業に乗り込んでいって営業を開始する方法です。

この方法では、100 %ダメだとは言いませんが、かなり高い確率で会うべきお
客様に会っていない可能性があります。営業してはいけない相手に営業してい
る可能性です。

会ってくれる人、話を聞いてくれる人が常に商談すべき相手だとは限りません。
そのことを肝に銘じておいてください。


伸びている企業は、何をやっているのか?

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矛盾していると思うかも知れませんが、最近、私が実績を出した事例では飛び
込み営業で新規の顧客を開拓しています。ところが何件飛び込んでも断わられ
ることはありません。ここで自慢話をしたいのではありません。飛び込んでも
断わられない方法がるということをお伝えしたいのです。

なぜ、私が30件訪問して、断わられたのがわずか1件だけだったのか?

その秘密は顧客の選別からゴールまで「営業をデザイン」しているからです。
営業トークや営業ツールのデザインではありませんよ〜! 営業活動そのもの
のデザインのことです。プレッシャーに弱い私が、魔法のような営業トークを
使いこなせるはずもありません。それに私は営業の天才ではありません。

飛び込む前に「営業をデザイン」しておく。そしてデザインした通りに営業を
淡々と進めていくだけです。それだけで売れる。営業が苦手な私でも売れる。
実は、伸びている企業に共通しているのもこの点です。

闇雲に売り込みに行くことをせず、顧客を選別し、じっくりと時間をかけて業
績を伸ばしていく。その目的に合わせて「営業をデザイン」してから訪問する
ことで新規顧客を開拓しています。

営業をデザインするとは?

 
■ そもそも、なぜ、その商品を売ろうと思ったのか?
───────────────────────────────────
営業戦略を考えるときは、ここからスタートします。これがボケていると営業
戦略を構築することができません。


■ その商品はどんな人に使って欲しいのか?
───────────────────────────────────
次に決めるのが、その商品を使う人。多くの場合ここがとても曖昧です。買っ
てくれれば誰でもいい。そう思っている経営者が多すぎます。だから営業ツー
ル全般が曖昧になってしまう。

ここが曖昧だということは……。つまり「営業の目標が曖昧だ」ということに
なります。どんなに腕のいいプロでも曖昧な目標に到達することは不可能です。


■ その人を振り向かせるにはどうすればいいのか?
───────────────────────────────────
営業をデザインするためには、このようにシンプルな質問を重ねていきます。
こうすることで、右肩上がりに伸び続けていた高度経済成長時代に作られた営
業ノウハウとは全く異なる営業方法が自動的に浮かび上がってくるからです。

従来の営業方法の王道といえば……。飛び込み営業で相手企業に乗り込む。ア
ポをとってこちらから押しかけていく。商談のステージに相手を引きずり出す。
こうした一連の流れで新規開拓をやろうとしています。

しかし、業績を伸ばしている企業はそうした営業方法とは全く異なるアプロー
チをしています。本当に売りたい人にだけ売る。これに特化しています。

それを実現するためには、本当に売りたい人をどのように決めればいいのか。
どうのように探し出せばいいのか。そうした一連の流れを俯瞰する必要があり
ます。そして、それぞれの企業にふさわしい「営業をデザイン」します。

「営業をデザインする」という視点で、もう一度自社の営業方法を見直してみ
ませんか? 人口が密集しているから売れる時代ではありません!


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