対面営業の制約率をアップする 営業ツール専門のコンサルタント
えーっ! 矢印?!
って、まさか。ホントにそれだけ?
そんな簡単な記号なのに……。
それだけのためにわざわざ用意するんですか?
ねぇ、これってホントに使える営業ツールなの?
矢印なんてここで見せなくても同じでしょ!
なぜ必要なんですか?
それでも、そんなツールをあえて用意するのは ──

新規開拓で飛び込んだ小売店でのトークです。
── どこへ行っても同じことを言われるんです。
そう言うと、一瞬、店長の眉間のシワがピクリと動いた。
── 来店客数ですが……。
おいおい。随分、立ち入ったことを切り出してきたな。この営業マンは何を言
いたいんだ? そんな気持ちの動きが表情の変化に見て取れる。それでも私は
構わず続ける。
── ここへきてお客様の数が落ち込んでいるそうですね。
単刀直入にきたな、と思ったかもしれません。それでも店長は軽くうなずいて
くれた。どうやら、この店も例外ではなさそうです。そうだなぁ。今は業界全
体が沈み込んじまって元気がないんだ。ここの店長だって、きっとそう思って
いるに違いない。もう何十軒もこの話をしている私には確信があった。スグに
次の質問を重ねていく。
── でも、こちらではそんなことありませんよネ?
思った通りだ。店長は何も言わない。静かに視線を落としたまま私のツールを
黙って見つめている。ところがウチも例外じゃないんだ。ご多分に漏れず、売
り上げはピタッと止まっちまった。とでも言いたいのだろうか。
予想的中かな? その場で私が開いたツールには、お客様から見て右肩下がり
の矢印が描いてあるだけ ──。店長は無言のまま首を縦に振った。うなずい
ている。
よっしゃ! お客様の興味を引き出せたぞ! これで次のステップに進めそう
だ。表向きの挨拶程度の会話じゃなくて、ホンネの分部を知りたいんだ。真剣
に提案したいから ──。
営業マンなら、どの話題が最も反応がいいのか。常にそうした話題を探してい
ます。業界によってそれぞれです。が、なぜかその業界にはその業界ごとに、
似たような話題に関心が集まっていることが多いようです。
この業界では、みんなこの話題に関心を持っているな。そんな話題をゲットし
ておくとアプローチでの会話がとても自然に展開できるようになる。これは営
業マンなら誰でも利用していると思います。私が体験した小売店開拓の時も同
じでした。
新製品を手にして販売店の新規開拓をするときは、手当たり次第に飛び込むこ
とはしません。まず業界を絞り込みます。一旦絞り込んだらそこしか行かない。
そうすることで「話題の絞込み」が可能になるからです。
なんたって絞込みの効果は抜群です。ひとつの業界内をウロウロと歩き回るこ
とになるので自然と狙った業界内で飛び交っている「似たような話題」があっ
ちこっちから集まってくる。どこに行っても同じような会話になりやすい。
結果的に何度もその会話に触れることになります。周辺情報まで集まりやすい
んです。
・業界を絞り込む。
・そして話題を絞り込む。
私の場合は、いつもワンパターン。すると比較的短期間で、専門的というか、
かなりマニアックな情報まで集まってきます。絞り込むことで、それが可能に
なります。
「来店客数が落ち込んでいる」その当時はこればかり使っていました。それこ
そ、どこに行っても「バカのひとつ覚え」みたいに同じ話題を振りまわしてい
たんです。なんたって、これに関する話題なら、あっちこっちの情報を持って
いたので ──。
営業で使える情報を集めるには、ひとつだけコツがあります。難しく考えない
でくださいネ! とても簡単なコツです。っちゅうか、営業だからこそできる
方法です。それは……。
何よりも現場に近い情報を集めること。えーっとですね。ここで言う「現場に
近い情報」っていうのはですね。「誰かが言っていた」ではなくて ──
・「私がこの目で直接見た」とか
・「私がこの耳で直接聞き出した」という情報のことです。
現場で飛び交っている「ナマの情報」のことです。えーっと。別の言い方をす
ると自分の足で取材した情報です。この方がわかりやすいかな?
「ナマの情報」が「営業で使える情報」です。理由は「ナマの情報」ならリア
ルな会話ができるからです。
それともうひとつ。これも覚えておくと役に立ちます。鮮度の高い情報は新鮮
な情報を発信しているところに集まってくる性質があります。つまり、直接取
材した情報を古くなる前に発信することで次の情報が飛び込んでくる。
入ったらスグに発信することがコツなんです。簡単でしょ? でもネ。これっ
てバカになりませんよ! ホントに凄いんです。実際にやってみるとすぐにわ
かりますが、かなり専門的な話題にもスラスラ対応できるくらいの量が勝手に
集まってくるようになってしまうんです。
── へぇ〜、なるほどねぇ。そうなんだ。
── じゃあ、こんなこと知ってるかい?
てな感じで発信すると次の情報がスグに入ってくる。ナマの情報、つまりリア
ルな話題を耳にした人は「こいつはこの手の話題に関心があるんだな」ってこ
とが相手に伝わるからです。
新鮮な情報を発信する。入ってくる情報の量が多くなる。情報が多くなるから
発信する回数も増えてくる。まるで情報の連鎖反応ですね。
するとどうなるか予測できますよね? 営業で使える情報が見えてくるんです。
その業界内の営業では、どの情報を使えばいいのか。どう話せばどんな反応が
くるのか。ある程度、相手の反応も読めるようになります。
営業トークとして最も使いやすい情報を選択すればいい。当時の私はそうやっ
て選びだした「来店客数」の話題ばかり使っていました。理由はアプローチの
突破が「ラク」だから。
これを使えば警戒心というあの妙な障壁が消滅します。そしてお客様にとって
「ホントに必要なこと」を提案できるようになるからです。
では、それで対面営業での「警戒心」の問題は全て解決するのかというと残念
ながらそんなことはありません。やがてアプローチの突破に手間取るようにな
るんです。
このトークを同じように伝えているつもりなんだけど、なぜか突然ちっとも伝
わらなくなってしまった。なんてことを体験したことありませんか? 最初の
頃はうまくいったのに慣れてきた頃にこうした問題にぶち当たるんですね。
うまくいったり、いかなかったり。なぜかバラつきがひどくなる。なぜそうな
るのかわかりますか? しかも、こればかりは避けて通ることができません。
それまで通用していたはずの話題が、なぜかブレーキになってしまう。
なんでだろ? これをスランプと呼ぶ人もいます。不思議ですね。どうして、
そんなことになってしまうんだろう? それは「人は録音再生の機器ではない」
からなんです。
何軒か同じような話題を使っていると慣れてきます。私は営業トークの技術は
うまくありません。どちらかというとヘタです。それでも何度も繰り返すから
話題に慣れてしまう。話し方が流れ作業になる。慣れると手を抜くようになり
ます。
誤解しないでくださいネ。これは意識して手を抜くわけではありません。無意
識に手を抜いてしまうんです。何度も同じ話題を伝えている。するとドンドン
要領がよくなる。やがて話の要点だけ、かいつまんで話せるようになります。
話のツボが見えてくる。パパッとポイントだけ話せるようになるんです。する
と、ある段階から何かが変わる。自分では全て伝えているつもりでも、初めて
その話を聞かされた相手は「話している言葉はわかるが、その情報の背景がな
ぜかイメージできない」なんてことになるんです。
勿論、説明に必要な単語はちゃんと伝えています。でも何かが足りない。情景
がイメージできるほど丁寧には語っていない。当人の意識では、とても要領よ
く伝えているつもりになっているんです。ところが実際は伝えていないんです
ね。
自分のトークを録音するとよくわかります。要領がよくなると、それと平行し
て、伝言ゲームのズレみたいなことが自分の中で起きてしまう。言葉を省略し
はじめちゃうんです。
問題なのは、伝えている当人が、自分では手を抜いていることが自覚できない
んです。何を省いているのかわからない。自覚できない! 自覚できないもの
は修整することもできません。どうしたらいいのでしょうか?
十分なキャリアがあって相当手慣れているプロでも、手に何も持たず手ぶらで
説明するのは大変な作業なんです。大変な作業ほどラクな方向に流れてしまい
やすい。説明で「ラクな方向に流れる」とは、つまり省略です。
なんのことはない。省略しないようにすればいい。でも手ぶらでは難しい。ど
うしよう? それを助けてくれるのがツールなんです。テレビに登場している
解説のプロでも、頻繁にフリップを利用していませんか? ポイントをボード
に書いて提示しながら説明しています。
話し手は、話のポイントを示すことで「話の内容そのもの」に注目してもらえ
ます。フリップを使うと解説者が説明しやすくなるから、というのも理由のひ
とつですが、それ以上にもっと大切な役割があります。
それは話を聞いている人がとても理解しやすくなるから。ですよネ! これを
営業ツールに応用しない手はありません。ですが、ここでひとつだけ見落とし
てはならない点があります。それが「説得」です。
営業の場合は相手を説得する必要はありません。っちゅうか、説得しようとし
ちゃダメ! それよりも商談を成功させたければ、相手の興味を引き出すこと
が先決です。
初回面談では「説得のキーワード」は ──
・使うな!
・見せるな!
・しゃべるな!
このことを忘れないでくださいネ。説得するためのキーワードを相手に示す必
要はありません。
しつこく繰り返します。ツールで説得しちゃダメ! 説得するための説明は不
要です。ツールに落とし込んでおくのは? 話すポイントだけでOK! パッ
と見てすぐに思い出せるようにしておけばいいんです。営業がやらなきゃなら
ないことはただひとつ。興味を持たせることです。
単語はいらない。文字を書くな! 文章を書くな! なんです。伝えたい単語
をツールに並べる必要なんてないんですね。単語よりも、その情報を伝えやす
くしてくれるキッカケが欲しい。
簡単な記号やシンプルな図形があればそれだけで十分です。それに単語よりも
記号の方が自分のペースで相手の考えや希望を聞き出しやすくなります。
・単語はイメージを固定します。
・記号はイメージを引き出してくれます。
しかも単語と違って、簡単な記号ほど自由にイメージに結びつきやすい。営業
ツールはこの特性を利用します。そして常にポイントを見ることによって無意
識で手抜きをすることも簡単に防げます。
記号だけの営業ツールは営業マンを助けてくれる。しかも、お客様にとっても
イメージしやすくなるし、何もないときよりも何倍も理解しやすくなるんです。
・たったひとつでいい。
・簡単な記号でいい。
このツールがあるとないでは、雲泥の差! ゴチャゴチャ書くより記号を使っ
た方が有利です。 (^_-)-☆
