営業チーム強化コンサルタント 庄司 充

営業におけるマネージメントとは

 

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吉見:庄司さんのコンサルの中心は、営業マネージメントと伺っているのですが、具体的にどのような内容なのかを教えていただけますか。

庄司:僕の場合は、営業スタッフに営業の仕方をアドバイスするのではなく、中小企業であれば経営者、少し大きな企業であれば営業責任者の方にチームの動かし方をお伝えしています。リクルート時代の強い営業部隊の作り方が根本にあって、営業マネージメントとして大切なのは、「チームにおける力の合わせた方」を実践することだとお伝えしています。

リクルートには、なぜ営業力があるかというと、一人ひとりが凄いのではなく、力の合わせ方がとてもうまい。それが出来ているか、出来ていないかが大きな差になってあらわれている気がします。

 

 

営業における「力の合わせ方」とは

 

吉見:どこの会社でも、個人のばらつき、能力の差があると思うのです。「力の合わせ方」の手法について、もう少し詳しく教えていただけますか。

 

庄司:よく、2:6:2という表現がありますが、僕は、1:8:1と言っていて、ほっておいても自分の力で出来るようになってしまう人が一割ぐらいいます。そうした人がリーダーになるわけですが、8割の人は、ちょっとサポートがあれば出来る人なんです。

リーダーのやるべきことは、その8割の人をどう戦力化するかがとても大事だと思うのです。そのために大切なのが、「力を合わせる」仕組みです。

具体的には、1割の人がやっていることを細かく分解して見ていくと、実は、その8割ぐらいは、誰でもできることなんです。

やることを細かく分解して、ひとつのパターンを作り出して、それを検証できる仕組みを作って、チームで試してやってみるということです。

企業の場合、最終的な営業のゴールは、「売上をあげる」とか「契約を取る」になると思うのですが、ほとんどの会社はそこだけを見てしまう。

その結果だけを見ないで、その間のたくさんの細かな行動の中で、どこでつまずいているのか-をちゃんと見える化して、チームで共有できる仕組みにすることがとても大切です。

そのうえで、その人が出来ていないところをどう出来るようにしていくのか。出来ている人のノウハウを利用する。これを繰り返しながら、チームとしてボトムアップを図りながら良い状態を作っていきます。

 

 

チームの改善方法

 

吉見:例えば、できる営業マンはなかなか自分のノウハウを教えたがらない-そもそもチームで営業活動をすることが難しい傾向にあると思うのですが、そのあたりはどのようにリードしているのですか。

庄司:チーム力がない企業の場合の特徴としては「売れる人、売れない人がいつも一緒」、「新人が育たない」、「ミーティングが暗い」、そのうえ「チームの目標が一度も達成できていない」などがあります。

こうしたことになるそもそもの原因が、「営業を個人任せにしている」「結果だけ見ている」「アドバイスが精神論になっている」、経営者やリーダーの指導方法がこのパターンになっていることがあげられます。

変えなければならないのは、営業スタッフではなく、こうした原因を作り出している、経営者やリーダーの意識です。

これを改善する方法は、「情報を共有すること」、「情報を元に成功パターンを作り出すこと」、「全員で検証すること」、この3つを実施することで、チームで「仮説・検証」を回すことができるようになります。

これによって、チームの様子が変わります。

例えば、日替わりでヒーローが登場したり、新人が早い段階で戦力化できたり、社員の定着率が高まるなどの効果があらわれてきます。

 

 

営業におけるマネージメント

 

吉見:自分たちで「仮説・検証」を回していけるようになるための一番大きなポイントは、チームをまとめるリーダーの役割が大きいと感じます。具体的なリーダーの進め方など教えていただけますか。

 

庄司:ミーティングのメンバーとしては、5人程度が限界であると思います。メンバーひとりひとりに対して、おこったことや、やったことをヒアリングしながら、じっくりと時間をかけて、行動を検証していきます。

そのうえで、具体的な行動レベルでの支持を出していくことです。大切なことは、行動を変える。ということです。

その指示が緻密に示せないと、いつまでも効果のでない精神論での議論になってしまいます。

先にお話ししたように、リーダーがこうした細かな指示を出せるようにするには、「細かな行動の分析」と「成功パターン」の仮説が必要になります。

 

吉見:なるほど、結果を出すためには、「小さな行動を変えていく」、「変えるべき行動はどこなのかを見つけていく」ということが大切だということが良く解りました。

 

 

営業チームの方向づけ

 

吉見:企業にとってのゴールイメージがはっきりとしないと、全体がまとまらない、スタッフが何のために働いているのか解らない、など、組織としては良くない状態になっている場合があるかと思います。こうした場合に、方向性を示すことも重要になると思うのですが、こうした場面での営業チームのマネージャーの果たす役割についてお聞かせいただけますか。

 

庄司:その点が一番重要です。「力を合わせて何をめざすか」、それを伝えていない経営者やマネージャーが多いのも事実です。

まず、ビジョン(理想)を掲げて、現状と比較します。その差が今の課題です。大切なのは、理想を掲げないと、その課題が見えないことです。

そして、課題に対して「策」を考える。

問題は、この「策」だけを伝えて、「この理想を達成するための策だ」と言うことが共有されていないことです。

ビジョン(理想)がしっかりとしていれば、実は「策」は失敗してもいい。試行錯誤すればいいんです。でも、策だけだと、それが失敗するとすべてがダメになってしまう。

多くの企業が、なかなか変われないのは、この点も大きいと思います。

具体的には、今日の1件の訪問は、この目標を達成するためだ-という明確な方向性をマネージャーが示せることが重要です。

 

 

 

top_face 庄司 充

MITSURU SHOJI
1981年,リクルートに入社、約6年間にわたりリクルート流最強営業術を学ぶ。その後、4年間で約40名のプロジェクト・マネジャーと、400名以上の営業スタッフの指導にあたり、担当したクライアント数は、上場企業からベンチャー、中小企業迄、事業部最多の30社以上。著書に『「売れ!」といわずに30日で「売れる営業チーム」をつくる法』(大和出版)がある