何か特殊なことをやってるわけじゃないんです。

ほんのちょっと、手を加えるだけ。

でも、そのポイントが見えない人にとっては、目の前に底の見えない大きな溝があって、どうしたらいいのか途方に暮れてしまうもの。

私も、かなり長いこと右往左往していたから、その心細さは痛いほどわかるんです。

変化のきっかけは、唐突でした。

横浜にある小さなお寿司屋さんから、広告コピーの相談をされた時のこと。

これまで対面営業の資料やプレゼン資料は山ほど作ってきたけれど、まさかお寿司屋さんの言葉を預かるなんて思ってもみなかった。

 

 

「やってみよう」と腰を上げたのは、大将のあの一言があったからです。

「20~30本、作ってみてよ。全部ダメでもいい。使うかどうかは、こっちで選ぶから」

…… 軽く言ってくれるなぁ、と。

寿司職人の修業じゃないんだから、と内心ツッコミを入れつつも、どこか面白そうだと感じて引き受けてみたんです。

いざ取り掛かってみると、これがまあ、しんどい。

最初の十本くらいは、それらしい言葉が楽に出てくるんです。

ところが、20本を超えたあたりから、からっぽの洗濯機を廻しているような妙な感覚になる。

頭の中のストックなんて、あっという間に底を尽きちゃうし ……。

何かヒントはないかと、キョロキョロしながら街を歩いても、あっちこっち目移りするばかり。

…… そんな時でした。

 

 

コピーとは何の関係もない公園のブランコを、ぼーっと眺めていた瞬間、なぜか「あっ!」と火花が散った。

それが「距離」です。

気がついてしまえば、なんてことない。

あまりにも、当たり前のことだった。

でも、気がつく前は、その存在すら全く見えていなかった。

売れる広告っていうのは「お客さんと自分との距離を、いかにして縮めるか」ってことなんだ!

ありがたいことに、私の視点はそこからがらりと変わることができました。

たまには、無茶振りに乗っかってみるもんですね。

 

 

…… 結局、大将がどのコピーを選んだのか、あるいは全部ボツにしたのか。

実は、使われたコピーを知って「ガクッ」ってなった。

だって、とりあえずって作った最初のコピーだったんです。

あの苦労はなんだったんだ!

と言いたいけど、でもあれで気がついたのだから「よし」とするか。

でも、待てよ。

最初にパッと浮かんだのが正解だったとしたら ……。

私って天才? ← ゼッタイ違うわ!(――;

 

 

 

ー 撮影場所と機材 ー

青森
OLYMPUS OM-D E-M10 Mark IV
LUMIX G 14mm / F2.5 II ASPH.

 

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吉見 範一(よしみ のりかず)

吉見 範一(よしみ のりかず)

「ちいさな会社の販売戦略」を設計する専門家/ 経営者を対象とした少人数制の個別コンサルティング = Y’s CLUB = 主宰