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カーリング女子で話題「赤いサイロ」、地元も品切れ状態
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カーリング女子の日本代表、LS北見が試合の合間に食べていた
地元・北海道北見市の銘菓「赤いサイロ」が、一躍注目を集めてい
る。ここ数日で注文が殺到。インターネットの受注は一時、中止と
なった。 (朝日新聞デジタル/2018年2月23日)
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「赤いサイロ」という甘いお菓子が超人気になったという報道を見て、かつて私がやってしまった苦い経験を思い出した。
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昔はゆるやかでした。
流行に敏感な人がいてね。そういう人がまず流行の最先端の商品を見つけてくるとパッと飛びつく。目先が利くというか、鼻が利くというか、どこから探してくるのか面白いものを見つけてくる。
「なるほどねぇ。こりゃあいい!」と周りにいる人が真似をしはじめる。そこから市場の大多数の人が少しずつよさに気が付いて「一般消費者に情報が広がっていく」というパターンが普通だった。
売れ行きのピークに達するまで、それなりの時間差があったんです。だから「儲かっていそうだな」と思ったら後から追いかけてもそれなりに利益を得ることも可能だった。
大昔の話ですが、パステルカラーの家電製品が売れた時期がありました。各メーカーから発表された新製品が次々とテレビで紹介されて、雑誌で特集が組まれて、急速に売れ始めた。
自社が抱えていたパステルカラーの電源コードは飛ぶように売れました。しばらくの間はこれで儲かると思った。そこで大量に追加注文をしたんです。でも注文したのはウチだけではなかったんですよね。ライバル企業も一斉に注文しはじめていた。
工場から「数か月待ちです」と言われた。ところが数か月待ってもまだ入荷しない。イライラしても仕方がない。おとなしく待つしかない。それにしてもなかなかな入ってこなかった。随分待たされてやっと入荷したころには、すっかり市場に行きわたってしまった後ということもあったし、お客様の興味はすでに他の新製品に移っていました。
入荷したときはピークが過ぎていた。こうなると売れません。
倉庫は売れ残ったパステルカラーの不良在庫の山。ピンクやイエローの明るいパステルカラーの電源コードを見るたびに、私の気持ちはどんどん暗くなっていった。パステルの家電は、ピークが思ったよりも早く通り過ぎてしまった。
それでも当時はラクだった。ほかの商品ではうまくいくことのほうが多く、市場全体を見渡すとまだまだピークがゆるやかだったから。
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しかし今はそうはいきませんよね。なんたって情報が伝わるスピードが速い。桁違いに速い。しかも情報量が多い。だから一瞬で知れ渡り、一瞬でピークがやってくる。
北見市の「赤いサイロ」のブームが今後どうなるのかは私にはわかりません。報道によると日本全国から注文が殺到してあっという間に3か月待ちなんてことになっていました。
それにしても、一瞬で話題になって、一瞬でピークがやってきて、一瞬で通り過ぎていく。こうした傾向が多くなってきましたね。
ほかの売り場を見ても従来型の販売戦略が通用しなくなっています。
コンビニの店長さんから聞いた話ですが、他店が売れているのを見て、それから仕入れているようでは遅すぎる。今はいかに売れそうな商品を探してくるか、売れ行きの落ち始めた死筋商品を早めに売り場から排除して、次の商品に差し替えるセンスが要求されるそうです。
「わかっちゃいるんですよ。ええ、理屈ではわかるんです。でもね。爆発的に売れると調子にのるんですよね。まだいける。もう少し売れるんじゃないかとね。そうやって撤収を先送りしちゃう。気が付くと売れ残りの在庫の山を作って販売のチャンスを逃していた。本当に難しい」この話を聞きながら、これってコンビニに限った話ではないと思った。
「最近話題の……。」という情報がバーッと広まって売れ始めたかと思うとすぐにピークが来て突然売れなくなる。ライフサイクルがとても短くなって人気商品の交代が激しくなっています。
いろんな業界の人に会って報道されていない市場の動向を知ろうとするアンテナを持つことがますます大切になってきましたね。
ー 撮影場所と機材 ー
北海道北見市
OLYMPUS PEN Lite E-PL5
LUMIX G 14mm/F2.5 ASPH.
= Y’s CLUB =とは
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吉見 範一(よしみ のりかず)

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