「コンサルティングを断ることはありますか?」
あります。
ひとつはこれから起業しようとする人。
もうひとつは基本方針が合わないケースです。
コンサルタントはあなたの会社の経営者ではありません。
企業の現状から判断して、いろいろご提案させていただきますが、最終的な方針はクライアントが判断します。
また、いつまでも居続けるなんてこともしません。
長期にわたって継続する場合もありますが、社内研修だけ依頼されることもあります。
ケースバイケースです。
以前、都内のスポーツドリンクのメーカーから新規開拓をしたいのでコンサルティングをお願いしますという依頼がありました。
長期間売り上げは横ばいのまま。
幸いなことに多少の変化はあるものの、減少傾向はみられず順調に売れ続けています。
そこで既存顧客を担当しているベテラン営業マンを担当からはずして、より多くの新規顧客の開拓に振り分けたい。
営業経験が長いといってもルート営業なので、新規開拓のノウハウを知らない。
だから教えて欲しい。
ルート営業は客先に行けば受注できるので新人営業マンに引き継がせて商品知識の豊富なベテランは新規開拓に集中してもらいたい。
–
私が真っ先に実践したのはルート営業に同行させてもらうことでした。
そして担当を変えるべきではないという結論に達しました。
ところが私のその提案はまったく受け入れてもらえず「新規開拓のノウハウを教えて欲しい」の一点張り。
そこで社内研修とコンサルティングを切り離してもらい、社内研修のみ営業マンを集めて行いました。
コンサルの依頼はお断りするしかなかった。
翌年、ベテラン営業マンが活躍してくれたおかげで多くの新規のお客様を獲得することができました。
売り上げは大きく伸びた。
社長の読みが当たった。
研修の成果が数字となって表れたと大満足。
とても感謝されました。
ですが問題はそれ以降の売り上げです。
–
毎年クリスマスの時期になると思い出す。
年末商戦に向けてライバルが新製品を売り出したころから様子が変わりはじめたのです。
売り上げが伸びたと喜んでいた次の年度末には、古くからの既存顧客の多くを失っていました。
付き合いの長い顧客が求めていたのはコンサルティング営業です。
キャンペーンとか、割引セールの紹介くらいしか持ってこない提案のないルート営業は求めていなかった。
新人営業マンとベテランの営業マンでは提案の根拠となる情報量が圧倒的に違います。
提案の質が違う。
企画力も違います。
ドリンク以外のサプリメントやその他スポーツ関連商品など、専門知識の豊富なライバル企業のベテラン営業マンに売り場からはじき出されてしまったのです。
私の提案通りにやっていればうまくいったという保証はありません。
時流によっては社長のやり方がうまくいった可能性も十分あります。
ただ社長は私のアドバイスを求めていなかった。
社長はご自身の方針に賛同して欲しかったのだと思います。
コンサルタントは経営者ではありません。
提案はしますが、決定権はクライアントにあります。
基本方針が合わず、こちらの提案を受け入れてもらえなければ、コンサルをお断りするしかないのです。
ー 撮影場所と機材 ー
六本木
Canon PowerShot G7X
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吉見 範一(よしみ のりかず)

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