「吉見さん、そんな小さいことを考えているようじゃダメだ。どうせやるならドッカーンと大きな勝負に出た方がいい。チマチマやってもだれも振り向いてくれません。もっとスケールの大きなカケに出なければチャンスはつかめない」
先代社長が亡くなり、会社を引き継いだAさんは自分が新しい道を切り開いてもっと大きくすると宣言した。
情報集めに余念がなく、成功しているイメージをリアルに細部まで描き、夢をどんどん膨らませていった。
「コンサルタントはリスクを気にしすぎです。だいたい同じようなことしか言わない」こうなると自分の考えと一致する意見しか聞かなくなる。
自分の構想を理解できない人と距離を置くようになり、自分のアイデアの正当性を裏付けてくれる本を選び、プラスの判断材料になる資料ばかり集めていました。
そうやって自分にとって都合のいい情報しか目に入らない状態に陥っていく。
「小さなテストをやりましょう」といくら言っても耳を貸そうとしなくなっていた。
私が何度もしつこく提案するものだから、とうとう連絡がまったくこなくなった。
そしてついにドッカーンと投資に踏み切った。
ところが、そのままあっという間に数千万円の赤字を抱えてしまうことになる。
実は都内のAさんだけではなく、埼玉県新座市の経営者Bさんが負債を抱えて倒産してしまったのもこれと同じパターンだった。
ふたりの経営者に共通しているのは、勉強家で知識量が多く、記憶力もいい、そして頭の回転が速いことです。
情報収集が上手な人によくありがちなのですが、ふたりとも途中からまわりの人の意見を聞こうとしなくなっていました。
自分が正しい。
私は時代の流れを読んでいる。
まわりの人は遅れている。
まるで止まっているように見えると言っていた。
これまでにないものを作れば売れる。
この商品は斬新なアイデアで素晴らしい効果を発揮する。
良さがわかれば売れる。
「私ならこの良さを伝えられる」
ここからすべてが始まっています。
–
基本を忘れないでくださいね!
「いいもの」が売れるわけではありません。
売れるのは「欲しいと思ったもの」です。
商品を詳しく解説すればよさは伝わるかもしれませんが、欲しいと思わなければどんなに画期的な商品でも買いません。
逆に「どうしても欲しい」と思えば、十分によさが伝わっていなくても売れます。
「売るな。欲しがらせろ」これが基本です。
人は説得されて買うわけじゃない。
欲しいから買うんです。
どんなに環境が変わってもこの基本を忘れないでください。
ー 撮影場所と機材 ー
千代田区丸の内
Canon PowerShot G7X
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吉見 範一(よしみ のりかず)

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