あれは五反田の大きなビルで開かれた、
雑貨の見本市でした。
私も出展していて、
袋物を中心にした小物を並べていました。
両隣のブースは、
スリッパメーカーと、
ごみ箱メーカー。
会期はそれほど長くなかったけど、
毎日顔を合わせているうちに、
自然と仲良くなっていきました。
あの頃は、
量販店が急成長していた時代です。
世の中に勢いがあって、
多くのメーカーが、
「なんとか全国展開の量販店に納品したい」
そう思っていました。
一度採用されれば、
扱う数量は桁違い。
売上も一気に跳ね上がります。
当時は、
量販店の販売力が最強だと、
誰もが思っていました。
私も、
売上の金額を聞いて、
「いいなぁ」
と、正直うらやましかったです。
ところがです。
両隣のメーカーは、
どちらも本格参入が決まりかけていたのに、
最後は撤退してしまいました。
理由は、
契約前に、
すでに納品している業者へ
話を聞きに行ったからです。
詳しいことは書きませんが、
どこへ聞いても、
返ってくる言葉は同じでした。
「やってられないよ」
打ち合わせが多い。
納品ロットは細かい。
納品にも手間がかかる。
協賛金を求められる。
返品も多い。
値段はどんどん厳しくなる …… 。
しかも、
取引が始まると、
売上は急激に伸びます。
だから、
簡単には抜けられない。
気がつけば、
一社依存の体質になってしまうそうです。
その結果、
忙しいだけで、
利益が残らない。
休みも十分に取れず、
毎日、
仕事に追われ続ける。
仕事をしている気にはなるけど、
体力だけが、
少しずつ削られていく。
そして、
どの業者も最後には、
「やめとけ」
と忠告してくれた。
生き残れるのは、
結局、大企業だけだと。
小さな会社にとって、
本当にいいお客さんとは、
売上が大きい会社ではなく、
たとえ注文が小さくても、
・手がかからない。
・無理な値引きを求めない。
・他社との価格競争がない。
・きちんと利益を残してくれる。
そんなお客さんなんです。
…… この話を聞いてから、
「売上の大きさ」ではなく、
「利益を残してくれるお客さんかどうか」を
見るようになりました。
ー 撮影場所と機材 ー
東京/渋谷
Canon PowerShot G7X
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吉見 範一(よしみ のりかず)
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