OEM生産を外部に依頼する大手企業にしてみれば、生産ラインを増やすことなく、現状の売れ筋商品の製造体制を維持するためにも外部に依頼するメリットは大きい。

品質がよければ自社で作り続けなくてもいい。できることなら少しでも安く作ってくれるところがあれば自社で作ることにこだわらなくてもいい。

継続して生産を続けたい既存商品を外部に発注すれば新製品の開発に専念できるからメーカーとしては競争力の強化ができます。

 

製造を任された中小企業にとってもOEMを引き受けることで売り上げが安定します。ただし一度引き受けてしまうとOEM生産を切り離して考えることは難しくなるかもしれません。

最近はかなり厳しい状況に追い込まれているという話をよく耳にします。特に中国やベトナムなど、品質がよくなってきたこともあって大手企業は国内メーカーではなく、アジアに発注するケースも増えてきたからです。

 

 

A社も例外ではなかった。

OEMで製造する量が年々減り続け、先の見えない不安を抱えていました。一方、大手メーカーが要求する技術的に厳しい水準をクリアしてきたおかげで製造のレベルはアップしています。

しかし、いくら技術力が向上したとはいえ、このままでは自社ブランドの浸透が一向に進みません。なんとかしなければ……。

 

「そうだ。倉庫には材料が余っている。これを加工して売れそうな商品を大量に作ろう。ドンドン作ってガンガン売ればいい。商売なんてものは大量に売れば儲かる。よし営業力を強化するぞ」という気持ちもわからなくはないのですが、ちょっと待ってください。

「モノを作って、営業すれば売れる」が通用したのは昔の話です。今は時代が違います。現実問題として、こうした従来型の発想でモノを売るのはかなり難しい。

 

 

終戦後の日本のようなモノ不足の市場が目の前にあって「品質はそこそこでいい」「あればいい」「スタイルなんて気にしない」という状況なら売れると思います。

今でも発展途上国の生活必需品ならうまくいくかもしれません。しかし、モノ不足の時代はとっくの昔に終わりました。

今はあらゆるモノがいきわたり、豊富な選択肢を持っている現代の日本ではそうした「作れば売れる」という発想は通用しないと考えるべきです。

 

商品が増え続け、バリエーションが増え続け、選択肢が増え続けた結果、あなたが宣伝して認知度をあげようとしている市場や、営業して売り込もうとしている「マス・マーケット」はありません。

そこにあるのは数多くの市場に分裂した小さなマーケットの集合体です。小さなマーケットで顧客が求めているのは自分専用の商品です。

そこにコモディティー化された商品を投入しても価格競争が激しく、自社が有利に新規参入する余地はほとんど残されていない。

小さなマーケットの集合体となった漠然とした「マス」を狙うよりも、もっとマーケットを絞り込んで、より専門性の高い商品を提供したほうが成功する可能性が高いんです。まずは大量に作って大量に売るという高度経済成長期に主流だった観点を捨ててください。

 

 

「だれに売るのか」を絞り込み、「何を解決するのか」を提案して、「なぜこの商品で可能なのか」を明確にした方がいい。くれぐれも「できるから作ったけどほとんど売れなかった」とか、たとえ売れても「値段が厳しすぎてちっとも儲からなかった」という状況を自らの手で作って、そこに飛び込むことは避けてください。

 

OEM生産の依頼が続いている間は、比較的経営は安定しているはずです。今のうちに小さなテストを繰り返しながら、これまでになかった新しいジャンルの製品を開発していきましょう。

販売戦略を考えない企業は消えていきますが、戦略を考え抜いた企業はドンドン成長できる時代になりました。一緒に挑戦しましょう!

 

 

 

 

ー 撮影場所と機材 ー

金沢
Canon PowerShot G7X

 

 

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吉見 範一(よしみ のりかず)

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「ちいさな会社の販売戦略」を設計する専門家/ 経営者を対象とした少人数制の個別コンサルティング = Y’s CLUB = 主宰
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