あれは高校生の頃だった。

ベースを始めて一年も経たないうちに、
近所のお兄さんから

「ちょっと手伝ってくれ」

と言われた。

なんだかよくわからないまま、
楽器でも運ぶのかなと思って
ノコノコついて行こうとしたら、

「ベースを持って来て」

と言われた。

「ブルースのスリーコードはわかるよね」

「はい」

「じゃあ、それ弾いて」

って、

「えええええぇ~っ!!」

練習場所にいたのは、
横浜を代表するミュージシャンたち。

何を考えてるんだと思った。

 

 

緊張で固まった。

私をその場に連れてきたのは、
あのパワーハウス・ブルースバンドの
ドラマー、野木さんです。

たまたま近所に住んでいた。

理由なんて、
本当にそれだけでした。

パワーハウスは、
私もライブハウスや野外ステージで
何度も聴いたことがある。

野木さんが演奏すると、
ステージ脇には対バンのドラマーが
何人ものぞきに来る。

そんな有名な人でした。

その野木さんに

「ベースがいないから頼むよ」
「適当に音を出してくれればいいよ」

と言われても、
こちらは手汗びっしょりです。

その日は曲の確認だけだから、
ということで何とか終了。

ホッとした。

そして、
メチャクチャうれしかった。

憧れのミュージシャンと
一緒に演奏できたんだから。

 

 

その翌週。

「また手伝ってくれないか」

と声をかけられた。

マジか!?

練習の途中では、

「この部分なんだけどね。
ベースのフレーズを何か考えてくれないか」

そんなことまで言われるようになった。

そして何度か音合わせをしたあと、

な、な、なんと、

ライブのステージに引っ張り出された。

私はアマチュアです。

言われたことを、
言われた通りに弾くだけ。

それで精一杯だった。

ところが困ったことが起きた。

周りから、

「あの若さでプロなんだ」

という目で見られるんです。

野木さんから

「吉見は、うちのバンドのベーシストなんだよ」

なんて紹介されてもねぇ。

ドシロウトですよ。

私以外のメンバーは全員プロです。

 

 

でも、あれから毎日、
ベースを練習するようになった。

足を引っ張らないようにしないと …… 。

振り返ると、
習慣が私をつくり始めたのは、
あの頃からだった気がします。

ベースを弾けるようになりたいと思って
練習する人は多い。

もちろん、
練習すれば上達する。

でも私の場合は少し違った。

「うまくなりたい」

ではなく、

「足を引っ張れない」

だったんです。

たいして弾けないくせに、
周りからはベーシストとして扱われる。

だから練習する。

ただ、それだけ。

でも、その積み重ねが
少しずつ私を変えていった。

 

 

不思議ですよね。

やっていることは同じ練習なのに、

「ベースを覚えるための練習」

「ベーシストとして恥をかかないための練習」

では、

気持ちの入り方が全然違う。

違うのは技術じゃない。

意識だけです。

でも、その意識が
毎日の習慣を変えてしまう。

似ているんだよなぁ。

ベースも、
資料作りも、
カメラも、
POPも、
ブログも、
セミナー講師も。

まずは少しだけ先に、
その人になったつもりで続けてみる。

すると不思議なことに、
習慣の方が後から自分を追いかけてくる。

私は今でも、
あれが先だったのか、
練習が先だったのか、
よくわからないんですけどね。

気がついたら、
毎日ベースを弾く人になっていました。
違いって、意識だけなんですよ。

それでも、プロに混じってステージでは
「なんちゃってベーシスト」になれた。

 

 

似てるんだよなぁ~。

ベースも、資料作りも、カメラも、POPも、
ブログの投稿も、セミナー講師も、

一日にちょっとずつやるという習慣と
肩書きを持つだけでいいんです。

たったそれだけで
肩書きに見合ったイメージが、
自分の中に生まれてくるんですよね。

ただ、こなすだけとは全然違ってくるよ。

 

 

 

ー 撮影場所と機材 ー

横浜/みなとみらい
OLYMPUS OM-D E-M10 Mark IV
LUMIX G 14mm / F2.5 II ASPH.

 

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吉見 範一(よしみ のりかず)

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「ちいさな会社の販売戦略」を設計する専門家/ 経営者を対象とした少人数制の個別コンサルティング = Y’s CLUB = 主宰
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